小学生の頃の話だけど

自分の家の2軒隣は、人の住んでいないあばら家が放置されていて、その家は広めの庭がそのまま公道の砂利道に開けていた。
夜や夕方に見ると恐ろしげだが、昼間に見ると中島潔の絵にありそうな庭が草に埋もれた木造家屋だった。
ある日の夢でその家が綺麗な塀で見えなくなった。
白いペンキが塗られた塀で、木目の穴が合ったので覗き込んだら、なまはげの様な鬼が塀をぶち壊して襲ってきたので、側に居た弟をおんぶして必死で自分の家の玄関に逃げる所で目が覚めた。
夢の感情自体が恐怖だったので、引き摺られ鼓動がバクバクいっていたが、夢だと思って、その内落ち着いた。
数年後、夢と同じ塀が一夜城の様に現れた。
しばらくびくびくしていたが、何も起こらないので慣れてきた頃に、思いきって夢と同じ所にあった木目から覗いてみた。
中はあばら家のまま、塀のお陰で怖さも無くなっていた。再現されたのが塀だけでよかったなと思ったが、その家の持ち主に何事もないか気になった。
引っ越したし、会ったこともないし、オカルトらしい話がそうそう起こるわけもなし……今となっては調べようもなく見たこともない人にトラブルを期待した様な失礼をした気分になる話。