恐らく4人全員の顔を確認すると老婆はまた押し入れの襖をすーっと開けてずるずると
押入れの中に入っていった。
老婆が言っても俺は体を動かせずにいた。
誰か起きてこないかと思ってたが3人とも何事も無いかのように寝息を立てている。
そして俺もいつの間にか寝入ってしまった。
翌朝、カチャカチャという食器を洗う音で目が覚めた。1人はもう授業へと出て
行ってて残る2人が拾ってきたテレビを見ながら飯を食ってた。

俺が昨夜の話をするとおばあは何もしないさーだったら平気だよーと言って笑ってた。
もう一人は引き顔で聞きつつも本気にせず笑ってた。

後で聞いたが前の住人のお婆さんは強盗に首や背中の複数を刺され逃げるように押入れ
中で息絶えていたのだと。
最後に見た景色だから今でも気持ちが残ってるんだよと彼は明るく言っていた。
彼はそこで何があって何が出るのか、不動産屋で聞いていた。
でも苦学でもあったので家賃を優先させたらしい。の同級生は卒業までずっとそこに住んでた。
幽霊って目を閉じていても見えるものなんだろうか。人生唯一の霊体験で得た謎だ。
そのアパートは今でもある。