【仮説】S氏が便槽から女性宅内への侵入を試みた挙句の不慮の死

S氏はこの日、懇意にしていた女性宅が留守であることを知った。
そこでS氏は、窃盗目的で、汲み取り孔からの家宅侵入を考えた。
24日朝、女性宅に着いたS氏は、汲み取り孔を通過しやすいように裸になった。
裸は着衣に糞尿がつくのを恐れたためもあった。
脱いだ服は、住宅外に置いておくわけにもいかず、便槽内に持参した。

近くに車を鍵付きで置いていたように、宅内への侵入はすぐに済む予定だった。
だから、この寒い中に裸でも問題ないと思った。

侵入時に靴が片方脱げたが、すぐ回収すれば無問題と考え、そのままS氏は奥へと入っていった。
だが、便槽にこそ入れたものの、その中は想定外の狭さだった。
予定通りに金隠しを持ち上げ、室内に入ることは適わず、
かといって便槽内で向きを変え、侵入口から出ることも不可能。

二進も三進も行かぬ状況の中、S氏自ら大声で救助を叫ぶことは可能ではあった。
だが、好青年と思われていた自分には、死んでもそんな真似は出来ない。
そうしている内に体は衰弱し、遂に二日後、彼は凍死した。