横山光輝版「三国志」から

名医、華佗。曹操の逆鱗に触れ、獄死。
こっそり面倒を見てくれた牢番の心意気に感じ入り、秘伝書を託す。
若い頃は医者志望だった牢番、これからは世の為人の為に尽くすぞ!と誓う。
翌朝目覚めると、妻は秘伝書を焼き捨てていた。
華佗のような名医になれば華佗のように殺されます。夫が殺されるのを見過ごすわけにはいきません。と、妻は平然としている。
華佗の努力の成果は、こうして失われた。

この妻、「あなたを助けてあげたわよ!」なドヤ顔でも、「バカ言ってんじゃないわよ甲斐性なしが」な鬼嫁でもなく、淡々とした無表情。
妻は夫を主人と仰ぎ主人に危機があれば身を投げだして救うもの、という儒教的価値観に従っているだけ、な風にも見えて後味悪い。