南米の短編「大佐に手紙は来ない」

恩給の支給開始通知を心待ちにする元大佐。
政情の不安定な国で、通知はなかなか来ない。
貯えを切り崩す日々が続き、役場に訴えるがどうにもならない。
とうとう貯えが底をついた。
老妻「あなた、あたくしたちはこれから、一体何を食べてゆけばよろしいの?」
元大佐「糞でも食らうしかないさ」

不幸にして「クソ喰らえ」の罵倒語を持つ我々はこの作品の真の悲惨さを享受することはできない、と筒井康隆は書評で書いている。