ブライアン・エヴンソン「アンスカン・ハウス」

主人公。子供の頃、幽霊屋敷に、お父さんの重病を治してください、僕が代わりに病気になりますから。とお願いして、本当に父親は治り、主人公は同じ病気になってどうにか回復した事がある。
(幽霊屋敷はアンスカン・ハウスと呼ばれていて、そこで病人の名を告げ自分がその人の苦しみを引き受ける、と宣言すれば自分が病気になって病人は治る、と子供ネットワークでまことしやかに噂されていた)

大人になった主人公はそれをただの偶然と思い、忘れた。
年を取り肺炎で苦しむ主人公は、思い出したその噂が本当かどうか確かめてみたくなり、愛情を盾に孫をそそのかした。
(どれ、おじいちゃんが不思議な幽霊屋敷の話をしてやろう。おまえ、おじいちゃんを愛しているなら行ってきておくれでないか)
主人公は、孫を身代わりに立てるわけではなく噂を確かめるだけ、もし万が一本当でも、健康な子供なら肺炎なんかどうってことあるまい、もしそうなれば今度は自分が孫を治すために幽霊屋敷に行けばいい、と心で言い訳した。

孫を犠牲にしてでも助かりたい、じゃなくて噂を確かめるだけ、と言い訳してるのが後味悪いと思う。