「ベストフレンドベストカップル」っていう、
男女の心理の違いについて書かれた本に唐突に登場する
作者の父親のエピソード


優しくて思いやりのあった父は、ヒッチハイカーに金を強奪され、
車のトランクに押し込められ、熱気で窒息死した
父は苦しみながらも数時間必死で助かろうと努力し、
テールランプを壊して空気穴を空けることまではできていた
息子(作者)は、死ぬ間際の父の気持ちを知りたいと思い、そのトランクに入ってみた
そして、試しにその穴から手を伸ばしてみた
すると、手はあっさりボンネットを開くボタンに届き、
中に閉じ込められた状態でもボンネットを開くことができたのだった
もし父がボンネットのボタンのことを思いついていたら、
あるいは、手がボタンに届かなかったとしても
外にいる人に存在を気付かせることができたら、助かっていたのに…



親切心から乗せてあげたヒッチハイカーに危害を加えられ、
死ぬ間際まで努力しても助からなかった父親の無念や、
父親の目の前に助かる方法があったのに
使われなかったことを知った作者の無念を想像して、やるせない気持ちになった