斬首される前の罪人が、「俺は死後必ずお前を恨んで祟ってやる!」と言ったのに対し、
「ハハハ!アホか!死後の祟りなぞないわ。あるというなら、お前、首だけでこの目の前の
石にかじりついてみろ。もしそれができたなら、お前の祟りとやらも信じてやろう」
と答えた知恵の回るお侍の話思い出した。

結果として、その罪人は首を落とされてもみごと執念で石にかじりついた。
侍の家来がそれを見ておびえ「殿、祟られますぞ・・・」と慌てたところ、
当のお侍は余裕しゃくしゃくと
「うむ。大丈夫だ、安心しろ。こやつは死ぬ直前の一念をすべて石にかじりつくことだけに
使い切ったので、こちらに祟る力などはないのだ。俺はそれを見越してわざと石を
持ち出したのだ」

この話はたしか死ぬ間際の思念はとっても大事だよ、の例えとして書かれたものだけど、
同時に「目先のものしか見えない単純バカは、結局知恵者にはかなわない」
という、おかしくもちょっと悲しいお話でもある。
本当にずるがしこい奴は隠れたところで悪事はたらいて、うまく人の恨みや批判の矛先を
そらすんだよな。