ドイツのSF「ペリー・ローダン」シリーズ230巻「モリタトールの聖域」
「ペリー・ローダン」シリーズはドイツで毎週発行されている長編SFシリーズで
太陽系を民主的に統治する、アメリカ生まれのペリー・ローダン司令が宇宙を縦横無尽に駆け巡って活躍するスペース・オペラ。
1-2年で1シリーズ(サイクルと呼ばれる)を形成していて、この巻の属する「カピン・サイクル」では前のサイクルから
なんと一千年も一気に時間が飛んでいる。

このサイクルのそれまでのあらすじ:
20万年前にカピン族という銀河間を航行する種族にしかけられた爆弾により、太陽が超新星爆発をおこしかねない事態となったため
太陽系司令ペリー・ローダンは20万年前の地球にタイムトラベルし、そこでカピン族のある部族長を仲間にする。
部族長はタケル族という他のカピン族との戦闘中であったが、自分が20万年後の爆弾処理を手助けしないと
太陽系が滅亡し、しかも重大なタイムパラドックスを生じると知り、ローダンとともに20万年後に向かう。
部族長は自分の部族に対して「20万年後に私は戻る」と伝達していたため、部族長が元の星系に自らの部族を探しに行くと
モリタトールという部族の間に「20万年後の今、我らの部族長が帰還する」という伝説があることをつきとめた。
しかし部族長がモリタトールたちに自分の正体を明かしても「いかさま師では?」と警戒されてしまった。
そこで古い記録が保管されている大図書館があるためモリタトールの聖域となっている惑星に向かい、20万年前の文書を確認しようということに。
図書館長はこころよく迎えてくれたが、なぜか図書館には大勢のタケル族が千年前から「援助」と称して出入りしていた。
図書館長「彼らは敵対するタケル族ですが大変友好的です。悪いことなどするはずないでしょう」
とはいうものの20万年前の記録に矛盾や空白が多々見られたため、カメラを仕掛けると、案の定タケル族が隠れてせっせと記録を改ざんしており、
このペースではすでに図書館の記録の大半が犠牲にあっていると判断された。
悪行がバレたタケル族が核爆弾で惑星を破壊しに出たため、ローダンたちは可能なだけ住民と文書を宇宙船に運び、救出。
図書館長は今まで誇りとしていた文書の多くを灰燼と帰したばかりか、残りも改ざんで無価値となった、と嘆くのだった。