>>489
興味がないからといって間違った記憶が発生しやすいわけでもないし、
興味があるからといってそれに関する記憶が常に正確であるとも限らない
人の記憶というものはそんな単純なものではない

ネルソン・マンデラを知らない人にはマンデラが獄中死した記憶が生じようもないことは
もう何度も言われてることであるが、
対象への関心度の高さが虚偽記憶の発生に影響しないことは
例のボローニャ中央駅の時計の記憶に関する研究でも実証されていることだ

虚偽記憶というものはむしろ記憶の連想や想起を繰り返すことによって生じるもので、
そう言った意味では印象的な出来事が関連する記憶を歪曲するというのは間違いでないが
だからと言ってそれが興味の薄い曖昧な記憶に対して特に起きやすいというわけでもない
記憶の歪曲はたとえ関心の高い分野の確固たる記憶に対しても等しく起こり得るものだ

むしろ自分が興味を持って明確に記憶していたことだからこそ、
それが現実と異なることに衝撃を受けるんじゃないか
大して関心もないことの記憶が現実と違うことが分かったところで
「ああそうだったんだ、間違って覚えてたわ」という程度の感慨しか得られないだろう