まぁ、ぶっちゃけ怖い話じゃないが、俺が怖かったのは蛇様が見てたバケモノなんよ

言ってる意味がわからんと思うが、なんか子供の顔が二つ?前後にあって腕が四つか六つ、足が前後に二つずつ、出来損ないの阿修羅像みたいな?
いや、像つうか生々しい、死体なんざ犬猫しか見た事ないが、明らかに死んでる、でも生きて呪って、憎んで、怒ってる
表情は一切無かったよ、でも呪ってるし、なんつうか本当に悪意の塊だってなんかわかったんだ

そいつは最初水面にいる黒い何かにしか見えなかったけど、認識できた瞬間せっかく神様が止めてくれた思考が復活した
すぐに腰を抜かして、それでも逃げよう逃げようって手を地面に置いて後ろに下がろうとして、滑って、それを繰り返して掌が擦り傷だらけになった。
その間、ずっとゼヒッ、ゼヒッ、って呼吸が苦しかった、口から吸い込む空気が腐った何かの匂いで吸い続けたら死ぬってなんとなくわかっちゃったんだ

そのままなんとか釣り道具置いてある納屋までなんとか這って逃げた、横開きの扉に手をかけた瞬間なんか、なんとなく見られてるって気がして振り向いた、簡単に言ったら蛇様が顔を横に向けて少し俺を見てただけ。

で、俺そのまま気絶、次起きたら隣の隣の家の駐車場の水溜りに転がってた。

んで頭の中になぜか「東の浜には行くな」って何度も思い浮かぶ、俺の町の中には岩瀬っていうか、石ばかりの東の浜って海岸がある。
その周囲には信じられんだろうが祠や鳥居や社、お不動様の像や、大黒様の像、地蔵様がわんさかあるんだ。

んで余りにもそれだけしか頭に思い浮かばないで頭おかしくなりそうだったから例の坊さんに連絡取ってもらってあった事を話した。

そしたら「じゃあ私が見てきます」って台風の次の日なのに見てきてもらったのね
そしたら灯台までの道、コンクリートで固められたら橋みたいなとこがデカデカとえぐり取られてた。
そんで坊さんがコレはいかん、と思ったらしくて急いで鳥居やら仏像見て回った。
何体か首が取れた地蔵様やら荒らしに荒らされまくってたらしい。

それ以来俺は神様や妖怪は見えなくなったが、あの時の蛇様が対峙してたアレがなんなのかだけ今も気になるが、絶対に調べたくもない。