昔、唐突に父方の祖父が酔っぱらったあげく河童をみたと語りはじめた
「またまたお父さん」
「うちの人はこういうホラを吹くからつまらん」
「ま〜た酒飲んでくだらんことを言うとる」

と、家族で散々な言われようだったので僕もつられて笑ってたらすごい顔で睨まれた
翌日、川で泳いでたら強い力で水底に引きずり込まれた
溺れそうになり僕は必死で助けを求めた
さいわい沢には両親がいたのですぐに僕は助け出された
鼻から水を吹き出し、泣きながら背後をみると三メートルくらい後ろにとても満足そうな爺が立っていた
爺はすぐさま捕まり、息子である僕の父にぶたれた
6歳の息子を溺れさそうとしたのだから当然である
頬をおさえ、女のように足を横に投げ出して座りこむ爺
熱海の寛一とお宮が見事に再現されていた
しかもお宮はよれよれのブリーフ1枚である
日本一情けない河童がそこには確かにいた