17世紀に流行した人間機械論は一時下火になったが、近年になり決定的に勝利した。
科学によって社会は発展したが、科学は現象を統一された理論で説明するので人間だけが特別であるという考え方も否定してしまう。
同時に人間の思考とは何か?命とは何か?という過去においての神秘も説明してしまう。
感情、道具の使用、音声によるコミュニケーション、かつて人間だけが行うと思われた事象は次々と否定された。
人間を人間たらしめる条件はどんどん狭められた。自然、昔であったら絶対であった倫理も弱くなる。
科学は全てを解明し相対化するので人間の悲鳴はバネがきしむ音、人間の涙は機械の油と区別がなくなってしまう。
結局、人間を人間たらしめるにはどこかで科学的思考をせき止める停止点が必要なのだ。