科学は単一の理論で全てを説明することを最上とするので進化論も人間と人間社会に応用されることになる。
ダーウィンの時代から第2次大戦までの間、人類の進化を研究する学者達は今の基準で考えて驚くほど人種差別的だった。
ある人種は他の人種より類人猿に近いと信じていたし、劣等民族という言葉は生物学的な意味で語られていた。
野蛮人はゴリラと紳士のあいだをつなぐミッシングリングだと考えられていた。
そして、人類はより良い種へ進化できるし、その進化を人類は知恵を使って速めることができる。
適者生存の法則にのっとり、より早く高次の存在へ進化した民族は、他の民族を駆逐し滅ぼす権利を有し、それは神の意思に沿う行い、正義であると考えられた。
そんな中に最下級民、大地の汚染者、キリスト殺害の犯罪民族と呼ばれる民族がいた。
ユダヤだ。
ナチスの人類浄化計画に関わった科学者、技術者は全人類への貢献という熱い情熱を持って作業に没頭した。
劣等種をこの世界から駆逐することは人類を神に近づかせる偉業であり、ホロコーストこそ正義だったのである。