俺はてっきりさっきの奴が噛みついてきたのかと思って、身体は動かなかったが頭だけは
動いたので足元を見てみると、案の定さっきの落ち武者の生首が足元の宙に浮いてこちらを見ていた
そして足元の下の闇の中から真っ白い腕がにゅうーっと出ていて俺の足首をつかんでいた
その力の強いこと強いこと、骨折するかと思うほど強く握られて、下のほうに俺を引っ張りだした
どこかに連れ去られるのかと思った俺は南無阿弥陀仏!南無阿弥陀仏!と念じてた
経はそれくらいしか知らなかった…それからのことはよく覚えていないがとにかく気が付くと朝で、
身体が半分くらいベッドの下側にずらされており足が曲がった状態だった
そして両足首にはくっきりと掴まれた跡のアザがあって、それは一週間くらい消えなかった
アザは俺の親も目撃しているし身体半分ずれた寝相になったのは後にも先にもその時だけなので
あれはやっぱり本当にあったことなんだなぁと思っている