んで、ここまでの話を聞いた俺たちはこぞって「ウソだ」って囃し立てたの。
Yはすごく温和な人でね、親しみやすかった。
そのYが、真剣な面持ちで右の袖をめくったんだ。

明らかに人間の子供の手のサイズ、手の形になった傷跡を見て、俺たちは絶句したよ。
今でもはっきり覚えてる。左手で、親指も下に向いてた。
そこだけが赤いんだ。茶色じゃなくて、もっと血の色を混ぜた赤さ。

今、Yはお孫さんに囲まれて幸せに暮らしてるんだと。
ごめんね、ずっと前から溜め込んでた話をここで吐き出したかったんだ。
誰かこの話に似た話を知ってる人はいるか? 俺はこの話が、どうしても嘘だとは思えん。