俺はすぐ下を見るのが怖くて足首に強く握られ湿った感触を感じつつ徐々に視線を下に向けていった
そこにうつ伏せで錆びたハサミを持ち視線を俺の顔に向けた少年のようなものがいた
ようなものというのはもうすでに見ようによっては老人に見える顔だった
髪も白く乱れて頬もこけ目は血走りその目で俺の顔を確かめるようにジッと見てた

せっかく収まった心臓がまるで握られたように痛いくらい鳴り
息も緊張のしすぎでまともに呼吸できなかった
テレビの音もつけてたはずなのに耳に入らなかった

何分くらいその状態だったかわからないがそいつは
「違う」
というと手を離して吸い込まれるようにベッドの下に消えた。
俺はすぐベッドから離れて恐る恐るベッドの下を見た
ベッドの下には何もいなかった。
そもそも物が詰められてて人が入れる訳が無かった。

それから少しした頃、俺は子供の頃にあったある友達が話してた話を思い出した
ある男の子が遮断機の前でふざけて少年を押して、こけた少年が電車に足を切断された
少年は生きてはいたが次の日病院から姿を消して行方不明になったという話だ。
当時はよくあるデマだと思っていたが

もしかしたらあの時のベッドの下の少年は自分を押した奴を今でも探しているんじゃないだろうか

以上お目汚し失礼