一を破るは、骨皮道賢。愛しい人には死ぬほど会えず、望み敗れて立川の。
二を破るは、佐賀の局じゃ、さがしいだけの如意輪気取り。「乞うの鳥」決め込んでいまだに啼かぬ。もとすこと叶わぬて、な?
三を破るは、見蓮じゃった。つつがなく終わることできずにいまだに失道中。盲いたはそもじの心なり。
四を破るは、欲の絡みでうまれし仔等よ。親の心を知らず、品定め。よって喰うや喰わず。
五つを破るは、曽我のうちもり。敵討ち真似して乱暴狼藉、旅に出るとて、波に呑まれぬ。
六を破るは、かぶその親玉、へうげていなさるも、阿呆の理屈をきわめていなさるるよ、まったく、全けきその体。
七を破るは、峠の神よ。小さい肝いり、他ぁの如しじゃ。
      破らるるはそもじの屁理屈と堤よな。ご自分で流されてござる。毎度、毎度。
八を破るは、ご存知二階坊。高女ばかりがうまれよる。よって共喰いなさって、パァ。
      頭、胸の内、腹の底。全部世界にヒラケテ御座るよ、その末路。
九を破るは あさのこころざし。哭いても無駄よと一条が筋。全て鳴門の渦に飲まれよ。
      抱くは濁世の始まりじゃとて義満気取りで仁羹集め。

十で ながの、世のわかれなり。そのたましいのくちはてるまで。
       吾の一つのからだもいとわず、ヒラコウと!
       死んだ善人達と、互いに唱えあっているとさ。「人類の脳髄」の為に、と・・・。
       帰依証要らずのコジノタメ。

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         さあ、この男の名を言える者がいるなら、前に出なさい・・・。