昔ショートショートのサイトか何かで読んだ話
今思うと「難易度の低い意味怖」みたいな素人創作かも

名門私立小学校への入試の予備校的なものも兼ねているお高い幼稚園
主人公の娘A子とその友達B子始め何人もの園児が何某学園初等部を目指している
だが何某学園は狭き門でこの幼稚園でも毎年一人〜数名しか合格していない
落ちたら滑り止めにした他の私立小学校に行くしかない(十分すごいのに)

今年この幼稚園から何某学園初等部の入試に合格できたのはB子一人だった
園児達は嫉妬もせず仲良く遊んでいるが(親や教諭から教えられないのかも)
当然ながら主人公(A子母)始め他の園児の母親達は内心嫉妬する

幼稚園からA子が帰宅したあと義母に任せて買い物に出た主人公は
誰もいない住宅地はずれの小さな川でB子が溺れているのを見かける
「A子ママ助けて!」と友達の母親に助けを求め必死に声を張り上げるB子
だがその声が次第に弱っていくのに気付いた主人公は恐ろしい事を思いついた
B子を見捨てて路地の角を曲がり、声が聞こえなくなるのを待つ
そして携帯電話で何某学園初等部の入試部に電話して
B子母が辞退すると言っていたからA子をお願いしますと言ったのだ

小学校受験は知能系問題だけでなく礼儀作法なども見るので
細かく点数化された明確な順位がない学校も多く、その場合補欠合格の順番もない
だから欠員が出たらどれだけ早く学校側にゴマをすれるかで決まる場合もある
しかし入試部は、主人公よりも先に同様の電話を受けているから無理だと答えた

断腸の思いで娘の友達を見殺しにしてまで娘の進路を守ろうとしたのに無駄だった
これからは滑り止め小学校に通う娘を見ながら無駄に罪悪感を抱いて生きるしかない
やはり世の中そううまく行かない……と後日B子の葬儀に出ながら主人公は後悔した

……何の罪もない幼稚園児を見殺しにした上に主犯が野放しなのが後味悪い
先に電話した奴が怪しいって入試部に言ってやればよかったのに