オカンから聞いた話

うちのオカンの方の先祖はその地域をまとめる豪農といわれる家で
また、その地域の治水に携わっていて、工事の際に人柱をたてたという話もある。
その呪いがあるため、オカンの家では後継ぎである男の子が育たなかった。
神社に相談にいったところ、男の子には女の名前をつけるように、
また裏庭に神様をまつるように、といわれてそれを守ったところ、無事男の子が育ったため
その後も男の子には女名をつける、ということになった。
ちなみに、現在、実家を取り仕切る伯父も「春美」という名前だけど立派な男。

少し遡るが、今から60年ほど前でまだオカンが学生だった頃の話。
その頃、オカンの父親は地元ではやりたい放題だったらしい。
蔵にある骨董品を売り払って金を持ったまま数ヶ月行方知れずになり
無一文で帰って来ることもあったらしい。

そんなある日、オカンが学校から帰って来ると家の中に若い妊婦がいた。
父親は機嫌損ねて書斎に篭もっていて、母親もカンカンに怒って話しにならないので
お手伝いに話を聞くと、どうも父親が東京にいっている間に付き合ってた女で
妊娠して、金がないからと追いかけてきたらしい。
親父は最初は否定していたが、仕舞いには認めて、結局彼女は家で面倒をみることになった。
彼女には狭い離れを改築してあてがわれた。