いつの間にかスネークの所持品にはパスの声を録音したテープが含まれていた
無論これはこの世に存在しない幻覚のテープで、収録された音声もこの世に存在しない幻聴で、全てはスネークの体感する幻

『私はずっと夢を見ていた。私も、あなたも。「夢を見ていた私の夢」を、あなたが見ていた。
 あなたは幻(ファントム)にすがるしかなかった。
 だけど、それもそろそろおしまい。だって、あなはもう知ってしまった筈。
 誰を殺しても、世界の全てを破壊しても、私は生き返らない。死んでいった他の皆も二度と戻らない。


 天国なんかじゃなかったけど、あのマザーベースにいた間、私は幸せだった。
 だから私も、誰かがあのときを思い出して幸せになってくれたら嬉しい。憎しみ以外の感情を思い出してくれたら嬉しい。
 ……もちろん本当は、「私がそう思っていてくれたら嬉しい」と、あなたが思っているだけ。
 何故なら、私はあなたの幻肢。喪われた心の一部だから。
 本当の私はもう死んでいるから。
 それでも、だからこそ私は、あなたの心の声を伝える。あなたが心の底に閉じ込めた本当の想いを。
 きっと、私はそのために存在していたんだと思う。


 あなたがこのテープを聴き終えた時、幻肢としての私は消える。
 この蒼い海の底で、骨さえも土に還る。
 それでも……
 あなたが私を忘れない限り、私はあなたの中で生き続ける。
 幻肢ではなく、あなたの心の一部として』