カート・ヴォネガット「スロットル全開」
主人公は鉄道模型オタクで、家にいるときはたいてい地下室にこもって鉄道模型をいじくっている。
妻は内気なため、夫の趣味はまったく理解できないが、夫に強く趣味について文句を言うことはできず、
同居している主人公の母親はそんな嫁を思いやり、息子の趣味への没頭に苛立っていた。
ある日、せっかくだし三人で外出して夕食を食べよう、と言うことになったが主人公はほとんど上の空。
とりあえず出かけようと妻と母親が外出の支度をしていると、主人公の友人が新しい機関車を持ってきたため主人公は大興奮。
外出なんてやめだ!サンドイッチでも作って持ってきてくれ、友達と地下室で食べるから、
と主人公が妻に言い出し、母親はついにキレた。
「爆撃機の襲来だー!爆弾投下!!!」
と言いながら地下鉄に乱入し、鉄道模型を蹴散らし、新しい機関車にドスンと座った。
友達はしばらくあっけにとられたものの
「すげえ、本当に爆撃されたみたいだ!写真に撮っとこうぜ!」主人公に言った。
しかしさすがに懲りた主人公は友人に今日はもうやめよう、言って家族との外出の支度を始めた。

破壊するくらいなら鉄道模型を売っぱらえばいいのに