諸星大二郎の短編漫画「食事の時間」

近未来。主人公は上流階級の子供・折場強=オリバ.。ある日、オリバの父が破産&自殺。母はオリバを見捨て逃亡。
オリバは単身、下流民が暮らすスラム街へ。スラム街へ踏み入ったオリバは、即スラム街住民に身包み剥がされ、衣服を「食わ」れてしまう。

その時代、世界は人口爆発に伴う慢性的な食料不足にあり、上・中流民しか食料が配給されず
下流民は、消化を強化する微生物”虫”を植えつけられ、上・中流民が廃棄する、古着・廃品のゴミを主食としていた。

スラム街に適応すべく街で知り合った少年と、その兄貴分と共に”虫”を授かる為「生化省」へ赴くオリバ。
が、受付手続きの隙をぬって省の最深部に進入する兄貴。兄貴は省の人体実験の噂を知り、その真相を追求するため同行・潜入したのだった。

省の深層で一行が見たのは、スラム街住民を使った人体実験の惨状。しかも、その深層の実験室で科学者・官僚が会議していたのは
保護ケースで眠る子供を実験台に、強化した”虫”を植えつけることで、下流民に上・中流民の排泄物を食料として供給する会議だった。

それを聞いた兄貴は激怒。「ゴミだけじゃあきたらず、俺達にクソを食わせるつもりか!」と、部屋に乱入し大暴れ。
その過程でコントロールパネルを破壊、省の放射線炉が暴走。結果体内の”虫”が異常繁殖して、アメーバー状に融解する兄貴。
その最中ケース内のパンにつられ、手を伸ばすオリバ。異常を察知した少年にケースに押し込まれる。直後融解する少年。
融解した二人は、同室内の人間を異常暴走した食欲で取り込み消化し始める。異常は省内だけではなくスラム街全土にも。
スラム街全住人は融解し、やがて導かれるように融合し始める。
同時刻、上流階級区域のレストランで給仕として働くオリバ母。彼女が目にしたのは、口々に空腹を訴えながら進軍してくる
スラム街民が融合した、超巨大な肉塊だった。

ケースの中で夢中でパンを貪るオリバ、ふと、俵で眠る子供に気付きパンを置き謝る「ごめんね・・・」
”現在の世界総人口 四十五臆・・・” というナレーションでEND。

本作が発表されたのが1978年。最近「忖度弁当」とかいう某コンビニでの大量廃棄ニュースを知ったのでカキコ。