昔雑誌で読んだ小説。あらすじしか覚えていないので、詳細を知っている人いたら是非教えてください

誰もが羨むような、完璧な結婚生活を営む専業主婦のA。そんな彼女の悩みは、夫が自分の手作り弁当を食べてくれないことだった。
味付けや見栄えに工夫を凝らし、上品な風呂敷で丁寧に包んだその弁当はいつも、朝、夫に手渡した時と全く同じ状態で家に戻ってくるのだった。
Aは次第にやつれ、追い詰められて行く。弁当を夫に食べさせる。それさえ出来れば私は完璧なのだ。しかし、何故食べてくれないのかを本人に聞くことは、彼女のプライドが許さなかった。
思い詰めたAは一計を案じる。その日、彼女は夫に、白米と手ごねハンバーグがプラスチックの容器に入っているだけという質素な弁当を渡した。昼、夫はさぞかしがっかりするだろう。
そしてその次の日、フォアグラや蟹などを惜しげもなく使った贅沢な弁当を渡すのだ。この格差につられて、夫も弁当に箸を伸ばすに違いない。
意気揚々と、豪華な弁当を作り始めるA。そんな時、ふと、指に付けていた結婚指輪がなくなっていることに気付く。二人の幸せの象徴を無くすわけにはいかない。必死に家中を探し回るが、どこにも見つからない。
そしてAは気付く。昨日、弁当用のハンバーグを捏ねている時に紛れ込んだのだ。
安堵するA。どうせ夫はあんな弁当は食べない。帰ってきたら、ハンバーグの中から指輪を回収すればいい。
夕方になり、夫が帰ってくる。Aは急いで弁当を受け取り、容器の蓋を開く。
中身は、綺麗に食べられていた。
「美味しかったよ。今まで風呂敷の結び目が解けなくて困ってたんだ」
夫が満足げに、そう告げた。

Aがあまりに救われない話の構成に、後味悪いというより感心してしまった。