昔、飼い猫が居なくなって、見付からなかった。
半年も経ったかという頃、夜寝ていると、片足の裏に
氷のように冷たい何かの肌がひたりとくっついた感触があって意識が眠りから浮上した。
ぼんやりしていると、次に猫の爪が足の甲を引っ掻く感覚があった。
痕が残らないくらいの、控えめなほどの弱さで、ゆっくりと、一度だけ引っ掻かれた感触。
当時は否定したかったが、あの子が、死んだ時に挨拶に来たんだろうなあと今は思っている