オカルト事象を収集・保護する団体、SCP財団の記録(という体裁の創作投稿サイト)から

オリジナル魔法少女コスの不審者が保護された。
彼女は10代前半と見られ、意味不明の言語に混じえて時々ドイツ語を叫び、パニック状態ではあるが尊大な様子。
コスチュームも小道具のマジカルステッキもコスプレにしては凝っている。
「本物」の可能性を鑑み、彼女の身柄は警察からSCP財団に移された。

彼女はステッキを振りかざし、「私はただの人間です」「魔法なんか知りません」とドイツ語で叫び、あたりを見回しては愕然とする。
財団係員の尽力で、彼女の言語は複数の印欧語を加工したものと判明し、コミュニケーションを取ることに成功した。

…彼女は魔法王国の希望の星であるお姫様、小さな(魔法戦争のせいで国土の大半を失った、元は大国)国で数少ない国民に慕われ、幸せに暮らしてきた。
14歳の誕生日、素敵なプレゼントがあると父王に言われて町の広場にいくと、国民が期待に満ちた顔で集まっている。
魔法をみせておやり、と言われてステッキを振りかざし呪文を叫ぶが、何も起こらない。
何度も叫ぶ彼女を指さして父王以下国民は笑い、『その顔が見たかった』と叫んだ。
すると城も街並みも、国を取り囲む鬱蒼とした森も書き割り(彼女はその言葉を知らないが)になってバタバタ倒れ、彼女が茫然としているうちに父王も国民も消えた。

遊びに飽きた金持ちが、純粋な子供の絶望した顔を見るのも面白い、と思って始めた遊びの犠牲者が彼女。
おそらくは拐われた子供である彼女を蝶よ花よ姫よと育て、手品のテクで魔法を使えると思い込ませ、時期を見てネタばらししたのだった。

「偽物」と判明した彼女はSCP財団の収集から外されたが、洗脳が解けた今は財団職員として働いている。
なお、彼女のような「偽物」はあちこちで散発している。