LAPA3142便離陸失敗事故

1999年、アルゼンチンの空港を飛び立とうとしたLAPA3142便が
うまく離陸できず滑走路をオーバーランし、
隣接する高速道路を突っ切ってガス施設の敷地内に突っ込み大破、炎上した。
機長らを含む乗員乗客63名と、高速道路の車にいた二人の計65名が犠牲になる大惨事となった。

事故の調査を進めていくうち、エンジンや計器類といった機体には異常が見当たらず、
ただ離陸に不可欠なフラップだけが引き出されていないことがわかった。
しかし機長らはベテランであり、そうでなくとも重要な操作なしで滑走を始めれば
大音量でアラームが鳴るため、忘れるということは通常考えられない。

だがコクピットボイスレコーダーの内容を検証した調査員たちは愕然とした。
機長らは離陸準備の最中にも職務に関係ない会話を繰り返し、
準備の手順もマニュアルからは程遠いずさんなもので、
禁止されている喫煙行為(CAとのやり取りからマリファナ等の可能性すらある)までしていた。
フラップについても、上記の理由で出し忘れた上、信じられないことに
大音量でなっているアラームを数十秒間も無視して走り続けていた。
アラームが故障でそもそも鳴らなかったり、墜落を意図して無視する事故は以前にもあるが
鳴っているものを、その重大性を認識することなく放置するというのは前代未聞であり、
調査に携わった人たちは無力感にさいなまれたという。