ジェフリー・アーチャー「意思と遺書のあるところ」
実話を元にした短編だが、アンナ・ニコール・スミスを思い出した

老富豪が死に、5つのとある団体に多額の寄附が、運転手によく整備されたクラシックカー1台が、家政婦に銀器一式が、遺言で遺された。
息子には故人愛用の杖一本が、娘には故人若かりし頃のハンサムな肖像写真が一枚、遺言で遺された。
残りの、つまり多額の遺産は故人がかつて入所していた超高級サナトリウムから派遣された看護婦に遺言で遺された。

ろくに見舞いにも来なかった息子と娘は遺言状の無効を求めて訴訟を考えるが、やめておけと弁護士は言う。
その弁護士は、遺言状は限りなく黒に近いグレーつまり看護婦が改竄した可能性大と言うのだが。

その5つの団体は、全米ライフル協会、共和党など敵に回せば限りなく厄介な奴ら。
遺産のほんの一部とはいえ莫大な寄附を諦めるはずがない、各団体は看護婦を支持するだろう。裁判は長引くに違いない。
だからささやかな記念品だけで我慢なさい、と弁護士は肩をすくめた。