夜中に唐突に思い出した話
星新一時代の『ショートショートの広場』中の一作
理想の女性とか妻の秘密とかそんなタイトルだった気がするがうろ覚え

「後味悪い話」っつーか人によっては「意味がわかると怖い話」かもしれん

結婚後ずっと仲良く穏やかに過ごしてきた夫婦
しかし夫(主人公)はある日、妻の日記が某有名芸術家の話題ばかりなのを知ってしまう
芸能人へのファンレター的な日記で別に浮気じゃないのかなーと思ったが
心穏やかじゃないので調べてみる事にした

その有名芸術家はTVにもよく出てるイケメンで絵画や彫刻などをやってる
「空想から現実を作り出せる」とか大言壮語してるが女性のファンは多い
しかしとある絵画の連作シリーズ(?)が、主人公の妻と同名で顔も似た女性キャラクターが
別の男と結婚してもなお初恋の彼(芸術家)を思い続けているというものだった

んな馬鹿な、と思った主人公は興信所に妻の浮気調査を依頼した
すると芸術家にはかつて恋人がいて、しかも妻と同名で顔も似ていたが
その恋人は誰とも結婚しないうちに病死していた
しかも芸術家と妻は過去に全く会った事もなく、名や顔が似てるのは偶然だった

そこで安心した主人公は、興信所の報告書の最後の方を読み落としていた
「奥様の故郷や境遇を調べようとしたが全く不明で調査不能」

相変わらず主人公とは仲が良く穏やかな妻に、主人公は調査した事を白状し謝った
そして、おかしいと思ったんだよなーお前が俺を差し置いて浮気するわけないし
今時他の男と結婚しても変わらず恋人を想い続ける女なんているわけないよな
そんなの男側の都合のいい空想の中の女だけだろ、と笑った

妻は笑わずに真面目な顔をして答えた
「よくおわかりになりましたこと」