俺は初老の年だ。これは祖父から聞いた話だ。
すでに亡くなった祖父の幼少期の話。
今から大体100年位前。大正時代の話だ。
祖父は信州の山奥の小さな村で生まれ育った。

祖父は四男で生まれたそうだが、長男から三男まで生まれてすぐ亡くなったらしい。
六男から七男までと、三女から五女までは、どこに行ったかはわからないが、
多分、口減らしで売られたんだろうと。
四男祖父と、長女は家族として暮らしたそだ。で、五男と次女は、
「おじろく・おばさ」と呼ばれ、ずっと奴隷状態だったらしい。
なんか、その地域のしきたりだそうだ。

大人になり、ちょっと調べた。地域はあってた。「おじろく・おばさ」制度。

その家の都合で若干変わってたみたいだが、長男以外は基本奴隷扱い。ひどい地域?時代?

祖父は、ほんとたまたま長男から三男までが亡くなったから生きただけらしい。
だから、親父も俺も娘も孫も、たまたま生きてられるって感じ。