「りん子はオバケなんだろ。どうしてオイラに嘘をついたんだ」
途中の岩棚で目覚めた一路はりん子を責める。
りん子は、一路が最初に「オバケの言う事は聞かない」と言ったからだと答える。
「オバケの言うことは聞かないけど、りん子の言うことならなんでも聞いたのに!
…お嫁になるって言ったのも嘘だったのか?」
拗ねる一路に、りん子は目に涙を浮かべて首を振った。
「女の子は好きな人のお嫁さんになるのが一番だって、お母ちゃんが言ってた。
だから、あたしは一路のお嫁さんだよ」
りん子は一路をあの世につれていって、お嫁さんになるつもりだったのだ。
「…ダメ?」と恐る恐る聞く姿に、一路はため息をつく。
「ダメじゃないけどさぁ、りん子って大胆だなぁ…オイラも負けたぜ」

地蔵を母地蔵の隣に戻し、りん子と共に行こうと霊体になった一路。
そこに帰ってこない息子を心配して一路の母が迎えにくる。 
「敵が来た!早くいこうぜりん子!」
すでに魂のない一路の身体を見て何があったのかと取り乱し、泣き出す一路の母。
それを見て自分の母との別れを思い出したりん子は、一路にキスをし抱き締める。
「大好きだからお嫁さんになりたかったけど、もっと大好きだから置いていく」
「なんで?」「一路やおばさんに、あたしやお母ちゃんみたいな思いはさせない」
大好き、と言い残し1人で消えてしまうりん子。
取り残された一路は、無事でよかったと抱く母をクソババと罵り、泣きながらりん子の名前を呼ぶのだった。

(続く)