中学のとき、頭がよくて要領のよい奴がいた。
そいつは、運動神経が悪く、体育はよく見学していた。

体育教師には目の敵にされているが、ペーパーテストでなんとか成績を維持するような
奴だった。クラスでも嫌われもの。

水泳の授業は、「水着を忘れた」、「体調が悪い」のローテーションで1度も参加しなかった。

ある日、そいつがいつものように「水着を忘れた」といって見学しようとすると、体育教師が
そいつに対して、「この水着に今すぐ着替えて、授業に参加しろ、プールのトイレで着替えて、5分で戻ってこい」と命令した。

水着を渡されたそいつの手はブルブルと震えていた。
着替えから戻ってきたそいつの顔は真っ青だった。

授業は、25Mを何本泳いだかを自己申告するもの。歩くことは禁止。
授業が始まり、全員がそれぞれのペースで泳ぎ始めるが、そいつは水に入ろうともしない。

「さっさと水に入って泳げ、この野郎」と体育教師に怒号が飛ぶ中、手すりをつかってゆっくりと入水。
1mも泳げなかった。