コミュニケーションは泳ぎに似ている

社会の海でいかに伸びやかに泳ぐことができるか。
その能力が低いと海の中で体力をどんどん消耗するし
足がつって身動きできないでぶくぶく溺れる。
潮水をしこたま飲んで涙目で岸にあがると
リア充なスイマー達は口々に
「もっと肩の力を抜いて、潮の流れに身を任せればいいのに」と言うけれど
そもそもなぜあんな冷たくて足のつかない場所へ行かないといけないのかわからない。

他の誰かが浅瀬で溺れているのが見えるけど
その辛さが痛いほどわかっても、飛び込んでいって彼を助ける力もない。
カナヅチはカナヅチを助けられない。
余裕のあるマッチョなスイマーが
颯爽と彼に、そして自分に浮き輪を差し出すことを
岸辺にしゃがんでぼんやり夢見ている。