36 声の出演:名無しさん ▼ 2022/03/21(月) 09:32:48.25 ID:9dqLZLHc [1回目]
読売家庭経済新聞 昭和63年 11月17日
声優・広川太一郎さん ハチャメチャも周到な計算(1/2)

事務所と思って取材依頼の電話を入れると、出たのが奥さん。びっくりして確かめると、そこは自宅
だった。夫人はマネジャー役。「この世界に入ってから、ずっと一人ぼっちでやってきました。全く
のフリーです」。芸能プロ、劇団のたぐいには所属したことがない。トニー・カーチスの吹き替えに
代表される二枚目向きのソフトな声と、もう一つ、司会やナレーションでのだじゃれ、ギャグをちり
ばめた軽快な語り口が持ち味。この型破りなスタイルを貫き通すために、フリーの立場が必要だった?
「摩擦があっても、僕だけの問題ですみますから。処世術ってのは一切使わないんです。お仕事もらう
ために、お追従なんてとてもとても」。軽薄とも言われる語り口とは逆に、きまじめな素顔がのぞく。
日大芸術学部で演劇を専攻。卒業後、先輩に誘われてこの道へ入り三十年近くになる。最近ではテレビ
のCM、日本テレビ「珍プレー、好プレー集」を初めとするナレーションが多く、既成の台本を基に、
次々とユニークなフレーズを作り出す。例えば語尾に「しちゃってるんだよねえ」「だからしたりなん
かして〜」などとつける。この話法には、まだ反発を持たれることも多い。「意味がわからない」
「品がない」と……。当人はこう反論する。「リズムなんですよ。一つ一つが、わからなくてもいい。