ペレルマンがなぜ受賞を拒否したのかは謎だが、多くの関係者が指摘するのは、数学界のボス、丘成桐(ヤウ・シントゥン)の政治工作である
。ハーバード大学教授であるヤウは、中国政府に国立の数学研究所をつくらせ、中国数学会の学会誌を創刊して編集長になり、そこに自分の弟子がペレルマンの証明を丸写しした論文を(査読も飛ばして)「ポアンカレ予想の最初の証明」と題して載せ、フィールズ賞を共同受賞させようと画策したのだ
。ペレルマンのような天才にとっては、アカデミズムの俗悪さが耐えられなかったのだろう。

こういう激しい競争とどぎつい学問政治の横行する世界の学界に比べれば、ボスが仕切って猿山のような秩序ができている日本の学界のほうが、のんびりしていて楽だが、こういう環境からは学問的な成果は出ない。