――やはり欧州のレースのほうが大きいですよね。

「世界でもっとも権威のあるのはバルセロナインターナショナルというクラシックレースで、
サグラダファミリアで有名な「バルセロナ」からスタートします。ベルギーやオランダ、ドイツ、
フランスなど鳩レースがさかんな各国の愛好家たちが参加します。1000キロメートル以上の距離を
飛ぶ長距離レースで天気のいい日に鳩を放ちます。全体や各国で優勝した鳩を目当てに世界中の
バイヤーが買いつけに行きます。ベルギーの場合、優勝鳩が高く売れるということが飼い主に
とっての目標でもあるわけです。鳩レースのメッカはベルギーなんです。鳩という存在は自分の
自慢なんです。日本の錦鯉も一緒でしょう。日本で品種改良して外国の人が破格の値段で買って
帰っていますよね」

 ――鳩はつがいの相手も買わなければならないのですか。

「1000万円もする優勝鳩に10万円の相手をつけては子の価値が落ちるので、鳩舎が指定したメスか
オスがセットでついてきます。高額な鳩の場合はおそらく2羽くらいついてくるでしょう。
これはサービスです」

お金持ちは鳩専門の世話人を抱える

 ――日本人はいまも買い付けにいっているのですか。

「日本でも関東の飼い主はツアーを組んで買い付けに行っています。かつてはバルセロナの
クラシックレースで優勝したレース鳩を2000万や2500万円で買っていた人もいましたが、
2008年の北京五輪が終わってから中国のほうが裕福になりました。中国や台湾は今まさに
盛り上がっている発展期です。いまでは中国や台湾のほうが盛んで日本人より高額の入札を
します。中国人は気位が高いと言いますか、破格のお金を出します」