目が覚めたとき、朝方まで隣に寝ていたはずのまほほんがいない。
寝ているあいだにもう帰ってしまったのかな、と思ったら、キッチンの方から「ごめん、起こしちゃった?」
まほほん、まだいてくれたんだ。

「リンゴ剥いたけど、食べる?」
うん、とうなづくとお皿にのせたリンゴを持ってきて、「はい、あーんして」と食べさせてくれる。
うーん、しあわせ。今日はこのまま一日、まほほんと過ごしたいから、仕事は休んでしまおうか。

「あー、悪いこと考えてるんだぁ」とまほほん。
「えっ、なんのこと?」「お仕事、休もうと考えたでしょ」
ばれた。そうだった、まほほんは魔法使えるんだ。

「だって、今日はずっと一緒にいたい」
「ダメ。お仕事はちゃんと行くこと」
いつも優しいまほほんだけど、こういうワガママは許してくれない。

「また今夜、きてあげるから。いっしょにご飯食べて──」
まほほんの顔が近づいてくる。
「その後でまたいいことしましょうね、りこ」
と耳元に吐息をかけてきそうなまほほんだから好き。