俺がフジのロードバイクで国二を走っていて
須磨の海岸あたりにきたとき、
見覚えある奴が立っていた。中学の同級生だった戸田だった。
夏の暑いときの話だが、
戸田はワーキャーと砂浜で戯れる若い男女のグループを
じっと見ていた。
うらめしいような
うらやましいようななんとも言えない表情だった。
俺は見てはいけないものをみてしまったようで
声をかけるのをやめた。
離れるとき、俺は
『戸田、がんばれよ。なるほど君には
あんなきらめくような楽しいときはなかったかもしれない。
しかし、君にはヲタ道があるではないか!がんばれよ。戸田!』
と彼の背中に声をかけてやった。