握力というと一般的には物を握る能力であり、握力計を使った測定によってその力を数値化することが可能です。一方スポーツにおいては握った物を離さない力もまた握力ととらえられており、前者を「能動握力」、後者を「受動握力」と呼んで区別することもあります。
 受動握力は自分の意志によって物を握る「能動的な」動作ではなく、握った物を外力など別の「受動的な」力が加わることによって物を離してしまわないように抵抗するものです。
 野球の動作で考えてみると投球動作ではボールを強く握る(能動握力)というよりも、ボールをより長く持った状態を保ち、ボールに力を伝えることがスピードアップやボールに回転を与えることにつながるため、指先でボールをコントロールする力や遠心力に負けない保持力(受動握力)もまた高めたい力であるといえるでしょう。プレーにおいて大きな力を発揮するためには下半身、体幹の筋力が不可欠ですが、動作の終盤において巧みな動きをコントロールしたり、同じ動作を繰り返すことができる=プレーの再現性を高めたりするところに握力が関係します。