若い頃、職にありつけず、ホームレスのような生活をしていた。
その日は飯も食えず、路上に突っ伏していた。
そんなとき、「体調が悪いのかね。」と張りのある声が。
ふと顔を上げると、180cmほどの、鍛え抜かれた肉体に、鋼色の肌をし、男らしい眼光の男性が。
貧乏でスーツなんて着たことなかった自分でも高いスーツだと分かった。
男性は「調子はいいかね。食欲はあるかね。」と聞いてきた。
自分は情けない声でお腹が空いたと答えた。
すると、男性は分かったと言い立ち去ったあと、数十分後に片手に袋を持って帰ってきた。
「こんなものしかないがいいかね。」と言われ中身を見ると、某高級料亭のうな重が三つも。
更に「普段はカードなのでこれくらいしか持ってないが。」と財布から10万もの大金を出し、私に手渡した。
私はそれを元手に必死に働き、スキルを身につけ、今では会社を経営している。
仕事に余裕ができ、ボディビルに興味が出たのでとある雑誌を買った。
中身を見ていると、かつて私を助けてくれた男性が載っているではないか。
あの馬場氏であった。
私はあの時、馬場氏に助けられた命なんだとひたすら感謝した。