幼い頃、あまりにも悲しく泣いた童話がある。
タイトルは思い出せないがこんな感じだった

ある大晦日の夜、童貞アラフォーカメラマンが写真を売ろうと街角に立っていた
凍てつく夜、いつものように写真は売れない
悴む指を温めようと童貞アラフォーカメラマンは売り物の写真を一枚取り出し火をつける
すると炎の中に美しい幻想が広がった
美味しそうな温かいラーメン
童貞アラフォーカメラマンはまた一枚、また一枚と写真に火をつける
そこには童貞アラフォーカメラマンが望む高価な撮影機材、寝取られる事なく養ってくれる彼女などが次々と見えては消える
そしてまた一枚の写真に火をつけた時だった
小柄で優しそうな男が現れ、童貞アラフォーカメラマンに話しかけて来た
『こちらに越して来たばかりでトレーニングをする場所が無いのでしたら、ウチ…』
火が消えそうになる
童貞アラフォーカメラマンは全ての写真に火をつけるが、どうしても最期まで聞けない
どうしてもその男を繋ぎ止めたい童貞アラフォーカメラマンはついに自分が被っていたヅラに火をつけてしまう
そして
『ウチで一緒にトレーニングしませんか?もしよろしければ!』
小柄で優しそうな男が優しい笑みを浮かべそう言った瞬間
童貞アラフォーカメラマンは天に昇る
翌朝、街角には微笑みながら眠るように死んでいるハゲたおっさんがいた

追記 その後、放火未遂の罪で容疑者死亡のまま書類送検された
めでたしめでたし