「一見、無味乾燥に思える数学には理系でありながら泣かされもしたが、後の人生において数学公式が直接役立つことはなくとも、
数学的な思考訓練が人生の難局にしばしば突破口を切り開いてくれた。
どのような袋小路にも必ず抜け道はあるものなのだ。

ボクが思うに、数学的思考とはみみっちい損得計算やうんざりするほど厳密なコンピューター的処理能力を意味しない。
数学の真髄はちょうど未知のパズルを解くようなものである。
ある程度の基本定理の上に論理を組み立てていくのであるが、ひとつの問題に対する解法はひとつではない。
思考力というよりは空想する力、イマジネーションがキーとなる。

人生の難問に遭遇したときに、想像力の豊かな人間は、その窮地を乗り切るために幾通りもの解法を必ずや見出し、
絶望や失望とはおよそ無縁である。」