「一部でも返せるものなら、私としても早くお返ししたい」――。大手銀行で唯一、公的資金の受け入れが続く新生銀行の工藤英之社長は20日に開いた株主総会で、苦しい胸の内を明かした。
返済には自社の株価の大幅上昇という高いハードルがあり、早期返済を迫る株主に理解を求めた。

 新生銀は公的資金の注入を受けた後の1998年に経営破綻(はたん)した日本長期信用銀行を前身に持ち、
今も約3500億円分が未返済のまま残っている。
この日の総会では個人株主から「努力して少しずつでも返済しています、という態度がみられない」と迫られた。

 国が損失を出さずに保有株を売却するには株価を7450円にする必要があるが、20日の終値は1711円。
工藤社長は「少しでも返した方が世の中の評価が高まるだろうと私も思うが、制度的に難しい」と話した。