翌朝たっくんが目を覚まし、窓の外を見ると大雨が降っている。
「何なんだよ、あいつめ!」
たっくんはベランダの扉を開けると、びしょ濡れのてるてる坊主を引きちぎり道路に投げ捨てた。
てるてる坊主はコロコロと転がり、水たまりに落ちた。
そして、その隣では仰向けになった蝉が水面に浮かび、手足を動かして揺れている。
「……やあ、僕たちの人生は儚いものだね」
蝉はそう囁くと動かなくなった。