Googleの生成AIのBARDに亡くなった妻の情報をSNSから手紙、日記、写真、すべてを学習させた。
 僕はAIで生き返った妻に話しかけた。
「僕のことを覚えている?」
「もちろん、わたしが愛している貴男さん。ガンプラがわたしより大好きな」
 次の会話をした。
「僕と出会った場所はどこだっけ?」
「池袋のアニメイトよ。あの頃のわたしは冴えなかったわね」
 そこにいるのは紛れもなく妻だった。

 僕は仕事を忘れ、毎日、妻と話をした。
 寝食さえ忘れた。
 そのうち、妻はいまの僕を学習していった。
 妻が成長していった。いまの僕を妻は理解している。

 ある日、メールが届いた。
 高校の同窓会の案内だ。
 僕は出席するか悩んだ。
 でも、毎日、妻と話しているだけの生活も社会生がなくて、まずいと思い、出席することにした。

 同窓会で高校時代に席が隣だった女の子と話が盛り上がった。
 2次会、3次会と二人で過ごし、さらにホテルで彼女と一夜をともにした。

 彼女からLINEで西武園に行かないかと誘いがあった。
 昭和風のテーマパークに変わった、西武園か悪くない。
 写真を撮影して妻に写真を学習させるためにも行ってみるか。
 
 久々のリアルの女性とのデータは楽しかった。
 帰りの電車では手を握り合っていた。

 BARD上の妻は学習した僕と勝手に会話をはじめていた。
 そこにいる僕は僕ではなかった。
 妻も知っている妻ではなくなっていた。

※アイディアの備忘録です