AIの子

 かあちゃんのことを最後に抱いたにはいつだったか。いや、最後にベッドで寝たのはいつだ?
 今日、何本目のMONSTER 500mlだ?それでも、一気に飲み干した。胃酸が逆流してきた。それでも、キーボードに向かった。ChatGPTに向かって、プロンプトを打ち込んだ。なかなか求めるような生成がされない。さらに学習をさせないといけない。
 コロナの時のリモートワークの普及で自宅で仕事ができるようになった。それでも、ベッドには入れない。それだけの仕事量がある。明日のクライアントの始業時にはチューニングが終わっていないといけない。
なにが生成AIでプログラマの仕事がなくなるだ。2年前はたしかにそう言われていた。俺の仕事は増えるばかりだ。簡単なことだ、ChatGPTが明確に分析できるレベルの日本語を記述をできるビジネスパーソンが日本にはほとんどいなかった。それぐらい日本人の日本語力は低下していた。IT業界でもかなり少なかった。俺は2000年対応時代にIT業界に入り、ビジネスのこともよく知っていて、プログラマとしても優秀だった。ChatGPTがブームになった時にすぐに参入した。さらにチューニングもすぐに覚えた。狙いは成功したはずだった。
 参入一年目で自宅マンションのローンを完済して、投資用ワンルームマンションも買えた。一年目は競合がいた。しかし、二年目には競合はほぼ消えた。市場に残るパフォーマンスを発揮できたのは日本国内にほとんどいなかった、成果を残した俺のところへ仕事が倍いや3倍以上になった。ChatGPTとて神様ではない。人間が一日に過ごせる時間を24時間にはしてくれない。いや、本当は生成AIがそうしてくれるはずだった。しかし、神様のような仕組みを作るプログラマは神ではなく人類だった。
 それでも人間は生成AIを神になるとでも思ったのだろう、おろかだった。それを思った瞬間に意識が遠のいた。
 
 目を覚ますと体に布団がかかっていた。布団から太陽の香りがした。隣のベッドには。かあちゃんが寝ている。かあちゃんは今日もかわいい。俺が手にしたもので一番、価値があった。
 俺はメールをチェックすべく、ベッドサイドに置いてあるiPhoneを取った。FaceIDは寝たままではうまく動作しない。俺は体を起こして、iPhoneに顔を当てて画面をスワイプした、反応がない。いや、形が違う。ホームボタンのあるTouchIDのiPhoneだった。
 俺が、若い頃に使っていたiPhone 7か8。SE 2を俺は使わなかった。どっちにしても使い慣れた14ではなかった。はっとした。俺はコロナの前の時代に戻った。
 思い出せ俺。この頃はなにをしていた?なにをすればいい。
 そうだ、俺を殺したChatGPTにいまからなら復讐をできる。まだ、ChatGPTは開発される前だ。GPTが開発されはじめた頃のはずだ。
 俺はリビングに行き、iQOSを探した。記憶していた通りの場所にあった。俺はiQOSを持ちベランダに出た。iQOSを加熱して考えた。
 どうやって、復讐をするか?単に開発を中止させればいいか?多分、それは無理だ。もうDeep Learnigはあった。この当時、俺はDeep Learningを使ってデータ分析をしていて、それがChatGPTの仕事までつながった。ChatGPTの開発を妨害してもBardが出てくるだけだ。
 なら、俺自身が生成AIを作ればいい。人に負担をかけない生成AIを俺自身が開発する。いまからなら俺が神を生み出す神になれる。
 そう思い、自分自身を笑ってしまった。でも、やれる。俺は世界を変えられる。
はじめて転生ものを書きました。
はい、推しの子の影響です。
やっぱり、あれほどのものは思いつかないです。
妄想です。