「私、きれい?」
 彼女はマスクを外しながらそう言った。
「っ……」
 俺は声を詰まらせた。
「ねえ、どうなの?」
 顔を寄せ、じっとこちらを見据えながら静かに囁く。
 次の瞬間、俺はこらえきれずに声をあげた。
「めっちゃきれいっす!」
 彼女がニコリと微笑む。
「ありがとう」
「うわあ、そんなお顔だったんですね先輩。唇がむちゃくちゃエロいっす」
「やだもう、バカ」
「ハイハイ、みんなグラス持ったかなー! じゃあ乾杯するぞー!」
「「おおー!」」
 大学に入って既に一年、無期延期となっていた新歓コンパが始まった。
 マスクも解除となり、俺はやっと、超絶美女と名高い先輩のご尊顔を拝することが出来たのだ。
 さあ、今日はガンガン行くぞ。
「「「カンパーイ!」」」