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ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【240】

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0001創る名無しに見る名無し
垢版 |
2023/04/05(水) 09:36:29.05ID:HrRddKt6
オリジナルの文章を随時募集中!

点数の意味
10点〜39点 日本語に難がある!
40点〜59点 物語性のある読み物!
60点〜69点 書き慣れた頃に当たる壁!
70点〜79点 小説として読める!
80点〜89点 高い完成度を誇る!
90点〜99点 未知の領域!
満点は創作者が思い描く美しい夢!

評価依頼の文章はスレッドに直接、書き込んでもよい!
抜粋の文章は単体で意味のわかるものが望ましい!
長い文章の場合は読み易さの観点から三レスを上限とする(例外あり)!
それ以上の長文は別サイトのURLで受け付けている!

ここまでの最高得点79点!(`・ω・´)

前スレ
ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【239】
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0178創る名無しに見る名無し
垢版 |
2023/04/14(金) 20:34:00.43ID:H37MMplZ
おやじのトムヤムクン

 東京から戻って、1年が経過した。
 俺は東京でバンドを結成できなかった。けど、いまは幸せだ。

 高校3年で進路を決める時はパンデミックの最中で、おやじは実家のいちご農家を継げと言ってきた。
 ぶっちゃけって言えば、うちのいちご農家は儲かっていた。法人化もしていないし、課税事業者になるほどではなかった。なにせ、先祖代々、継いできた家と土地。ハウスへの投資はあったが、他にあった借金はマイカーのセダンと作業用の軽トラのローンだけ。生活は楽で地元では裕福な方だった。
 高校時代の俺の成績は地元の大学進学は絶望的だが、卒業できないほどひどくもなく、それでもってパンデミック。そこで実家を継げとなった。この、実家のいちご農家を継ぐ話を同級生にした時はむしろうらやましがられた。農家の親を持つ連中には、なにせ同業で家のことなど筒抜けみたいなものだった。その連中から見れば食えて苦労しないのはわかっていた。会社や役所勤めの親を持つ連中から見れば、いまの地方は昭和や平成ほど地元とのつながりもなくて、リスクはあるが、やろうと思えば自由にやれる農家はうらやましがられた。
 俺の成績が悪かった理由はボカロPをやっていたからだ。YOASOBIのAyaseさんにあこがれていた。高校時代にバンドはやらなかった。PCで作曲して、ニコニコに投稿していた。高校時代は6曲、作曲した。しかし、ニコニコでの再生回数は一曲も1000回は届かなかった。高校生がなんで、そんな安くはない機材を持てたか?うちは裕福な農家。おやじとしては、将来はいちご農家を継ぐだろうし、高校時代は自由にやれとでも思っていたのだろう。さすがに1年間でボーカロイドを2本、買ってくれと言った時はいやがられた。最初にスペックのいいPCを買ってもらう時は、値段が高い分、長く使えると説明したら、財布を開いてくれた。それでボカロPをやることができた。いまどきのハウス農家はIoT農業で、おやじもPCを使えて、タブレット、スマホも使いこなせた。うちは外食チェーンとの取引もあり、そのためにおやじも電子メールなどを使っていたから、インターネット回線もあった。俺のPCもおやじが付き合いのあるOA商社を通じて、買ってもらった。

 俺は高校を卒業して東京へ出た。ボカロPだけではなく、YOASOBIが幾田りらのようなディーヴァを見つけたように、俺にとってのミューズを見つけ、バンドをしたかったからだ。
 東京へ出る時はほとんど家出だった。おやじがハウスへ出ている間に引っ越し業者を呼んで、日が暮れて、おやじが家の戻ってくる前に引っ越し業者のトラックの助手席に乗って、東京へ向かった。

 東京へ出たのはよかったが、パンデミックだ。バイトすら見つからなかった。それでも、パンデミックなのが逆に幸いして下北沢のレオパレス21を借りられた。しかし、貯金で食えるのは一か月半。日払いのUber Eatsをはじめた。自転車はサブスクのシャアリングを利用した。
 Uber Eatsは一日一万円稼ぐのを目標でやった。それを月20日やって、20万円。しかし、そんなに目論見通りにいくわけはない。配達が2件ぐらいしかない日もあった。
 そんな日は、カップラーメンを食べた。一応、東京での住処はおふくろと妹にはおやじに言わないことを条件に伝えてあった。妹が月に一回、日清カップヌードル トムヤムクンの12個入りを二箱、Amazon経由で送ってきた。しかし、なんでノーマルなカップヌードルを送ってこないと思ったが、こっちはもらう身、なにも言えない。
 妹はまだ中学生だったから、名前だけおふくろに貸して、おふくろがお金を出して送ってきているだろうと思った。
0179創る名無しに見る名無し
垢版 |
2023/04/14(金) 20:35:33.63ID:H37MMplZ
 東京へ出たのはよかったが、パンデミックだ。バイトすら見つからなかった。それでも、パンデミックなのが逆に幸いして下北沢のレオパレス21を借りられた。しかし、貯金で食えるのは一か月半。日払いのUber Eatsをはじめた。自転車はサブスクのシャアリングを利用した。
 Uber Eatsは一日一万円稼ぐのを目標でやった。それを月20日やって、20万円。しかし、そんなに目論見通りにいくわけはない。配達が2件ぐらいしかない日もあった。
 そんな日は、カップラーメンを食べた。一応、東京での住処はおふくろと妹にはおやじに言わないことを条件に伝えてあった。妹が月に一回、日清カップヌードル トムヤムクンの12個入りを二箱、Amazon経由で送ってきた。しかし、なんでノーマルなカップヌードルを送ってこないと思ったが、こっちはもらう身、なにも言えない。
 妹はまだ中学生だったから、名前だけおふくろに貸して、おふくろがお金を出して送ってきているだろうと思った。

 おやじが倒れたのは、パンデミックが落ち着きかけた頃。パンデミックで外食チェーンへの売上が減っていて、悩んでいたということだった。それで、酒の量が増えていたらしい。妹が電話で報せてきた。同時に、おやじからの伝言も。
「実家でボカロPをやりながらでも、いちごはやれる」
 俺は憑き物が落ちた。時代はパンデミックで変わっていたのだ。俺は実家へ戻ることにした。
 
 いまはおやじといちごのハウス栽培をしている。この仕事の朝は早いが、夜も早い。おやじは一日にやることをやったら、なにも言ってこない。俺はハウスの脇でオーガニック野菜をはじめた。少量で東京で知り合った連中に送るぐらいだったが楽しかった。おやじもいちごだけでは不安だったのか、俺のやることにはなにも言ってこなかった。夜は自由にボカロPをやれた。
 パンデミックでビデオ会議が一般的になり、俺の曲を聴いたファンいや、いまはディーヴァでありミューズの女性と出会った。最初は戸惑ったが、DTMで作曲して、女性とリモートで録音して、夢が叶った。リアルでは一度も会ったことはないが、この女性との曲をYoutubeにあげると再生回数は万を超えるようになった。YOASOBIに近づけた。

 家に戻って、妹に訊いた。あのトムヤムクンの趣味はどういう趣味だと。おやじが気を利かせた。おふくろが事務所に俺の住所のメモを置いておき、それを見た、おやじが自分の名前で送るのがはずかしく、妹の名前を使っていた。トムヤムクンはおやじなりのユーモアだったとも。おやじは俺が東京で作曲してニコニコにアップしていた曲も聴いていて、こいつは東京が似合わないと思っていたらしい。息子は東京に負けていると曲を聴いて感じた。それで笑顔にさせようとしてのトムヤムクンだった。

<了>
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