>>501
満身創痍のヌルスケは、しっかりとした足取りで滑る足場の上を歩き始めた。
近づいてくるヌルスケを見つめながら、ヘッポコたちは一言も発せずにいた。
確かにこれはヌルスケだ。それは間違いない。
だが、どこかに違和感があった。あの目は何かがおかしい。
「おお、親愛なるロトの勇者ヘッポコ殿、大変な報告がございます。アリアハンの存亡をかけた、大事なお知らせです。どうかお耳を、お耳をーーー」
道化の口上を思わせる節で、ヌルスケはスタスタと歩いてくる。
「おい、止まれ!」
ヌルスケの様子に尋常ならざるものを感じ取り、ケンは命令口調で言った。が、それを無視してヌルスケはそのまま歩き続けている。
その不気味さに、アナはヒステリックに叫んだ。
「誰か、その男を止めて!それ以上近づけないで!」