【リレー小説】TPパニック 〜 殺し屋達の絆 〜
舞台は台湾の首都台北
主人公は台湾マフィアお抱えの殺し屋ファミリー「タオ一家」三男マルコム
通称「マル」、ただし偽名である
彼らは互いの名前をイングリッシュ・ネーム及び偽名で呼び合い、誰もその本名を知らなかった 国民党党首である韓 国民は、行きつけのカフェで紅茶を楽しんでいた。
群衆に紛れると彼はどう見てもただの汚いオッサンである。
それゆえ誰にも気づかれず、優雅なティータイムを1人満喫していた。 天井から韓 国民のティーカップへ、一本の細い糸が降りて来た。
あまりに細く、透明であるため、目には見えない。
その糸を伝って、ティーカップの中に音もなく透明な液体が一滴、落ちた。 「ぐぁはががが!」
満席のカフェの中で、突然汚いオッサンが首を押さえてもがき出し、他の客が一斉に振り返った。
店員が急いで駆けつけた時には既に彼は口から白い泡を吹いて息絶えていた。 「効きすぎだわ」
遠くのビルの一室から双眼鏡でそれを眺めていた女が言った。
「ジェイ、あなたともあろうものが分量を間違えたわね」 女が双眼鏡を覗き込んでいる後ろの天井から、小柄な男が舞い降りた。
「間違えちゃいねぇよ、バカ」
「わざとなの? 目立ちすぎだわ」
「俺のやることに文句を言うな。妹のくせに」
「あら。そんなにいちいちバカにすることを言うと、この場で死ぬわよ、ジェイコブ?」
「お前なんかにこの俺様が殺せるか、ブス」 女は着ている黒いチャイナドレスのスリットに手を入れると、散弾銃を素早く取り出した。
慌ててジェイコブは声を上げる。
「なっ!? そんなもの、どこから……!」
有無も言わせず散弾銃が火を吹いた。 「兄弟ゲンカはやめんか」
散弾銃の白煙が晴れると、白髪に白髭の初老の小柄な男が立っていた。
「タオ・パイパイ!」女がその男の名を口にした。
「父さん!」ジェイコブは急いでその背中に身を隠した。 「ミッション・コンプリート御苦労、ジェイコブ」パイパイは背中に向けてそう言うと、女のほうへ向き直った。
「タオ・パイパイ……。違うの、ジェイコブが私をバカにするから……」
言い訳する女を叱るでもなく、タオ・パイパイは穏やかに言った。
「バーバラも御苦労。しかし、せめて長男と長女、兄弟の上に立つ者同士、仲良くは出来んものかな」 「こんなブスと仲良くできるもんかよ」ジェイコブが父の背中からまた罵声を浴びせる。
「よくもこの麗しき29歳美女に向かってブスとか言えるわね」
自分で言うだけのことはある。長女バーバラは年齢相応の色気と美しさを纏っていた。 >>11
「ちんこはアンタよ」
そう言うとバーバラはパンティーの中から機関銃を取り出した。
悲鳴を上げる暇もなく>>11は穴だらけになったが、バーバラはさらに撃ち続けた。
バラバラの肉片と化した>>11に流し目を送りながら、彼女は言った。
「あたしがタオ一家の長女バーバラ。薫り立つ黒バラのように美しい29歳よ。覚えておいてね」 「すまんな、妹が狂暴で。俺は無差別殺人などしない。怖がらせたお詫びにこれでも飲んでくれ」
ジェイコブはそう言うと椅子を差し出し、>>12に冷たい台湾茶を勧めた。
「バーカ。お前は毒使いなんだろ? とっくに描かれててバレバレじゃねーか。下手か?」
ヘラヘラ笑う>>12にジェイコブは尚もすまなさそうに頭を下げた。
「そう。俺はタオ一家の長男、名前はジェイコブ。仰る通りの毒使いだ。格闘や火器を使うのはダメだが、毒を使わせればプロフェッショナルだよ」
「何がプロフェッショナルだw これで毒入り茶確定じゃねーか。誰が飲むかよ」
そう言って嗤う>>12の顔がみるみる紫色に変わる。
「茶には何も入ってねーよ」ジェイコブは低い背で見下すように笑った。「即効性の有機毒を仕込んだ俺の可愛い蚊ちゃんにお前を刺させただけだ。あばよ」
>>12はその場に倒れると、もがき苦しんだ末に死んだ。 「まぁたどうでもよい奴らを殺したのか」タオ・パイパイがため息を吐く。「お前らもまだまだじゃの」
「そしてこの人が我等の偉大なる父、タオ・パイパイその人だ」ジェイコブはとっくに死んでいる>>12に向かって紹介した。
「もちろん嘘の名前よ」バーバラが言う。「ちなみにドラゴンボールに出てくる伝説の殺し屋とは関係ないわ」 「まぁ、よい。お前達、今夜は皆揃って晩飯を食おう」タオ・パイパイはそう言うと、突然消えた。 巨大な円卓に兄弟達が腰掛け、料理を待っている。
タオ・パイパイと妻のオリビアは既に並んで上座に着いていた。 10代後半ぐらいのあまり可愛らしくない少女が号泣していた。
彼女は隣に座る黒髪の、暗い印象ながら透き通るように美しい姉にしつこく話しかけていた。
「お姉ちゃん、もうすぐ料理が来るけど、舌を噛まないでね」
頬をびしょびしょに濡らして心配する妹に、姉はうざそうに答える。
「当たり前でしょ。慣れてるから心配ないわよ」 「うっかりほっぺたとかも掻かないでね。お姉ちゃん全身凶器なんだから」
「それよりムーリン、あんたそれ以上泣かないで。あんたが泣くとビクビクする」 長男のジェイコブが遅れて入って来た。
誰もそちらのほうを向かない中で、背の高い短い金髪の男が立ち上がって出迎えた。
「兄貴! 今日は大物仕留めたな! さすが兄貴だぜ!」
「あぁ」ジェイコブは金髪男の名前を呼んだ。「ガンリー、お前のやかましい声を聞くと落ち着く」 「コイツ、わざと大騒ぎにさせたのよ」脚と腕を組み、待ち構えていたようにバーバラが詰った。
「標的は国民党党首だぞ」ジェイコブは冷静な声で答えた。「遅効性の毒では解毒されてしまうことも考えたんだ」
ジェイコブが席に着く。あまりの背の低さに顔だけが卓の上に覗く。 「嘘よ。派手に自分の殺しを見せたかっただけだわ」
「ふむ。バーバラ、蚊に気をつけろ」
「おい、ブス姉」ガンリーが兄を庇うように巨体を乗り出した。「テメー、いつも兄貴の悪口言いやがって。おっぱいもぎ取ってやろうか」 「コラコラ。喧嘩はやめなさい」タオ・パイパイが手を打って場を静めた。「まだ来ておらんのはマルコムと……」
「来ていますよ、ここに。パパ」
そう言いながら、戸口にブランド物のスーツに身を包んだ長身の男が姿を現した。 「やぁ、ブラザー&シスター達。ご機嫌麗しゅう」
そう言ってキザな動作で挨拶をするマルコムに兄弟全員が白い目を向けた。
マルコムは1人ずつ、全員の元に歩み寄ると、爽やかな笑顔で声をかけて回った。 「やぁ、ジェイコブ兄さん。ミッションコンプリートおめでとう」
ジェイコブは舌打ちをすると、無視した。
「気安く声かけんな、マル」ガンリーがまたジェイコブを庇うように立ち上がる。「兄貴はテメーのことが大嫌いなんだよ」
「アハハ、ガンリー兄さん」マルコムは丁寧に胸の前で手を合わせお辞儀をすると、言った。「オレはジェイ兄さんもガン兄さんも好きですよ」
「お前は近いうちに殺す、マル」ジェイコブはそう言うと、手で追い払う動作をした。 「今日もお美しいですね、バーバラ姉さん」
「あら、ありがとう」
バーバラは跪いて手にキスをするマルコムに言った。
「ジェイに気をつけなさい。アイツ本気であなたを殺したがっているわよ」
「ご忠告ありがとうございます」マルコムはウィンクをすると、言った。「でもオレがあんなノロマに殺されると思いますか?」 「元気かい? 仲良し姉妹」
マルコムはそう声を掛けると、まだ号泣しているムーリンの肩に優しく手を置いた。
「泣き虫さん、今はなんで泣いているんだい?」
「お姉ちゃんが……ご飯と一緒に自分の舌を噛み切らないかと心配で……」ムーリンは答えた。
「モーリンはそんなヘマはしないよ」マルコムは優しく微笑んで見せた。「自分の危険すぎる身体には慣れてるさ」 「モーリン、今日はまた一段と、お人形さんみたいに可愛いね」
誉めるマルコムを姉のモーリンは無視した。
「お姉ちゃん! マルのこと無視しないで! 殺されちゃう!」ムーリンが泣き叫ぶ。
「馬鹿だなぁ、ムーリン」マルコムは笑い飛ばした。「知ってるだろ? オレは悪い人しか殺さない。だから……」 「どぅ……」ムーリンの様子が変わった。「どぅあれが馬鹿どぅあとぅ……」
「やばいっ!」
モーリンが必死の形相で妹を優しく抱き締めた。爪や顎が当たらないように気をつけながら。 「いい子、いい子、ムーちゃんはいい子! だから、ね? キレないで!」
必死にあやす姉に応えるように、ムーリンは大人しくなり、またさめざめと泣き出した。
「マルコムさん!」モーリンがキッと睨みつける。「ムーを刺激しないで!」
フゥーッと安堵のため息を漏らすと、マルコムは姉妹の側を離れた。 「えぇと……」マルコムは丸々と太った四男の側に立つと、言葉を詰まらせた。
「いいよ、マルコム兄さん。気にしてないよ」四男は明るい声で言った。「また僕の名前を忘れたんだろ?」
「す……すまん」
「存在感ないからね、ぼく。いつものことだよ」
「な、名前……何だったっけ」
「○○○だよ」
マルコムはまた四男の名前を覚えられなかった。 マルコムが両親のところへ挨拶に向かおうとした時、戸口のほうから太陽のように明るい声が聞こえた。
「みんなー! 元気だった?」
声のしたほうを皆が揃って振り向く。
バーバラ以外の全員が笑顔になった。
そこには白いブレザー姿の長い髪の女性が、皆の笑顔を受けて、輝くような笑顔で立っていた。
「やぁ、キム」
「キンバリーちゃん!」
「キム姉ぇ〜! 会いたかったよぉ〜(泣)」
「お姉ちゃん、お帰りなさい」
マルコムも笑顔で声を掛けた。
「キム……。会いたかった」 次女のキンバリー・タオが入って来た時、長男のジェイコブは鼻の下を伸ばしてしばし彼女に見惚れた。
しかしすぐに、思い出したように対角線に立つ三男マルコムのほうへ鋭く視線を投げた。
マルコムは笑っていた。何か秘密を共有するような意味ありげな微笑みだった。 「まさか国民党党首が暗殺されるとはな」
二人の刑事が屋台に並んで座り、コロナビールをらっぱ飲みしていた。
「これで民主党の蔡 英語の再選がほぼ間違いなくなりましたね」
「なんだお前、嬉しそうだな」
「いっ、いえ! そんなことは……」
「まぁ、大陸にいいようにされて嬉しい奴はそういないからな」
「こんなことをしなくても、民主党の再選は間違いなかったでしょうにね」 「しかし、あれはタオ一家の長男ジェイコブの仕事だよな」
「間違いないですよね、捜査するまでもないかも」
「お前、タオ一家の兄弟、全員知ってるか?」
「知ってるつもりですけど……念のため教えてもらえます?」 「まず長男ジェイコブ。毒殺のスペシャリスト。毒を飲ませるだけでなく、あらゆる方法で標的の体内に毒を注ぐ」
「コイツに狙われたら助からないですよね」
「ただ、格闘には弱いらしい。捕まえて縛り上げるのは簡単だろうな」 「長女バーバラ。いい女らしいぜ」
「見てみたいもんです」
「ただし見た奴はすべて死んでいる。色仕掛けと暗器の使い手だと言われている」
「どんな女なのかなぁ」 「次男ガンリー。タオ一家をしょっぴけるとしたら、頼りはコイツだ。顔が割れてる」
「まじっすか!?」
「しかし個人情報が不明だ。奴らは偽名を名乗っているし、指紋も残さねぇからな」
「よく出没する場所とかないんですか?」
「あるよ。ただしあっちこっちだ。相当遊び回ってるらしい」
「ガンリーは一族1の……」
「あぁ。バカだ」
「捕まえられるとしたらガンリーですね?」
「ただし、奴は格闘においても一族1だ。捕まえるのはそれでも容易じゃない」
「まさしくバカ力の持ち主……ですか」 突如、そこに謎の金髪男が現れた。
「俺の名はヴェントゥス」 以前、国際高校野球大会で、
韓国の監督が「日本が圧縮バット使ってるんじゃないか?」っていい出して
全参加国のバット調べてみたら、圧縮バット使ってるの韓国だけだったww
あれ爆笑したなwww 「ヴェントス? 何だ君は、唐突に?」
「先輩……。もしかしてコイツ、タオ一家じゃないですか?」
二人の刑事は突然声を掛けて来たヴェントスとい名乗る男に動揺しまくった。 「確かに……。今挙げた三人の他の兄弟は面どころか名前も割れてないが……」
「でも?」
「少なくとも金髪はガンリーともう一人だけという話だ。しかもそのもう一人は、女だ」
「おい、ヴェントスとやら、お前、何者だ!?」
男は答えた。
「……ヴェントスじゃなくてヴェントゥスだ」 ヴェントゥスが謎すぎるので刑事達はほっといて話を続けた。
「さっきも言った通り、残りのメンバーは面も通り名も割れていない。しかし、殺し方に特徴がある」
「特徴……ですか」 「まず、必ず傷ひとつだけで殺す奴がいる。しかもコイツはマフィア絡みの悪い奴しか殺さない」
「一撃必殺、ですか」
「コイツなのかどうかは定かじゃないが、それらしき姿を目撃した情報はある」
「どんな奴ですか?」
「高そうなブランド物のスーツに身を固めた、長身の色男だったそうだ」
「へぇぇ……」
「コイツはその殺し方と目撃された姿から『スーパージェットスーツ』と警察内では呼ばれている」 先輩の刑事はコロナビールを一気に飲み干し、おかわりを貰うと、続けた。
「次は『人喰いゴスロリ人形』」
「人喰い……ですか」
「コイツに殺されたのは全員男だ。しかも身体中を刃物のようなもので切り刻まれ、必ずペニスを根本から切り取られている」
「ひぃ」
「しかもそのペニスが現場のどこにも残されていない。持ち帰っているようだな」
「た、食べてるんでしょうか」
「わからん。コイツも目撃情報がある。白と黒のドレスに身を包んだ若い娘だったそうだ」
「それで『ゴスロリ人形』……」 「そして、最後だ。『暴れ牛』」
「え。もしかして……」
「そう。さっき話した金髪の女だ」
「女が『暴れ牛』?」
「コイツは必ず場を荒らす」
「場を?」
「あぁ、その場にいた人間を皆殺しにするんだ。1人だけ殺す場合でも必ずその部屋を滅茶苦茶に荒らす」
「暴れ狂った跡……みたいな感じですかね」
「そう。だから『暴れ牛』。目撃情報によると金髪長髪の十代ぐらいの醜い娘だそうだ」
「よく目撃者生きてましたね」 「以上だ」
「えっ……? 先輩、タオ一家って6人だけなんですか?」
「わかっているのは、な」
「もっといそうだけどなぁ」
「父親のタオ・パイパイは引退している。母親のエレナ・タオは24年前に殺しに失敗し、死んでいる」
「えっ? じゃあ、さっきの十代ぐらいの女の子ってのは?」
「再婚したんだろうよ。恐らく『人喰いゴスロリ人形』も後妻の娘だ」